郵政カブとは
1967年 郵政省がホンダに郵便配達に特化したバイクの開発を打診したのが始まり。
当時から耐久性に定評のあった同社のスーパーカブ90をベースに積載性を高めるために大型のキャリアを装備し、前に集配バッグをかけてもヘッドライトの光を遮らないようにハイマウントしたものだったそうです。
このころはまだMDという名前ではなくあくまでカブベースの『郵政省向特別車』と呼ばれていました。
1971年 現場の声を反映し登場したのがMDになります。ちなみにMDは(Mail Delivery)の頭文字から来ています。
スーパーカブ90ベースに変更点はフロントフォークがテレスコピック式に、バータイプのハンドルが採用されました。
その後前後ホイールが17インチから14インチに変更。地域によってはグリップヒーターやキャブヒーターが装備されたモデルもあります。
後に排気量50や70も採用され、集配用、貯保(貯金、保険)用と分かれ、その用途や排気量、年式によって様々な変更点があります。
ボディカラーは排気量、用途に関係なく『郵政レッド』と言われる専用色となります。
MD50とは
1973年登場 MDシリーズの最小排気量車。90と比較して積載量は少なくなりますが、免許の関係で多くの人が運転できるようにと採用されました。
もちろんMDですので前後大型キャリア、テレスコピックフォーク、バーハンドル仕様です。
スペック
車名及び型式 | MD50 | MD70 | MD90 |
長さ(貯保用) | 1.820(1.805) | ← | ← |
幅 m | 0.690 | 0.705 | ← |
高さ m | 1.085 | ← | ← |
軸 距 m | 1.195 | ← | 1.200 |
車両重量(貯保用)kg | 89(88) | ← | 96(95) |
原動機の型式 | MD50E | MD70E | MD90E |
排気量 L | 0.049 | 0.072 | 0.089 |
内径×行程 mm | 39.0×41.4 | 47.0✕41.4 | 50.0✕45.6 |
圧縮比 | 8.800 | ← | ← |
圧縮圧力 ㎏/c㎡-rpm | 12.0-1000 | ← | 13.3-1000 |
最高出力 PS/rpm | 4.0/9000 | 5.2/7000 | 6.5/6500 |
最大トルク ㎏ m/rpm | 0.35/7000 | 0.58/5500 | 0.76/5500 |
タイヤサイズ 前 | 2.75-14-4PR | 2.75-14-6PR | ← |
タイヤサイズ 後 | 2.75-14-4PR | 2.75-14-6PR | ← |
入手方法
本来は郵政専用車両ですので一般人が新車で手に入れることは出来ません。
業者が何十台単位で一括で買い上げるという話はよく聞きます。
この業者から個人やショップに流れていると推測されますが真偽はわかりません。本来は防犯上の理由から個人への払い下げ、再販は郵政時代から認められておらず、廃棄時にはスプレーで赤以外の色を塗って廃棄するそうです。
カブ系のイベントでは赤(類似色も含む)のMDは参加を禁止している場合もあるそうです。
ヤフオクとかでMDのパーツを物色していると外装パーツにスプレーで汚しているのが多いのはこういう理由からです。
これはあくまで昔何度か聞いたことがある『噂』ですが、昔の田舎の郵便局とかでは個人のツテで譲ってもらえることがあったらしいです。
MD70やMD90との違い
外観はサイドカバーの大きさやメーターの最高速度などが違います。二人乗りを前提としていませんのでMD70・90にはタンデムステップはついていません。
MD50とMD70はフレームは共通ではないかと言われています。MD90は別でメインパイプの直径や肉厚が違うらしいです。
またエンジンハンガーが違っていて、MD50、MD70はカブ系、MD90はCS90系エンジンです。
MD50・70はモンキーやカブのエンジンの載せ替えが出来るのでボアアップキットも豊富ですし、マニュアルクラッチ化やミッションも4速、5速化も可能です。しかしMD90はそうはいきません。
ノーマルで乗るならMD90、エンジンをいじる前提ならMD50・70がいいかも知れませんね。
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